セックスレス夫婦の定義と世界的統計：論文に基づく国際比較分析

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HIRABA
様々な国の夫婦が笑顔で並んでいる画像

「セックスレス夫婦」とはどのように定義され、世界ではどのような状況なのでしょうか。

近年、夫婦間のセックスレスは「誰にでも起こりうる身近な問題」として、メディアや専門家の間でも大きく取り上げられるようになりました。

「結婚しているのに、なぜ夜の営みがなくなるのか？」――

そんな疑問や不安を抱える方は少なくありません。実際、日本の既婚夫婦の約7割がセックスレス状態にあるという最新データもあり、これは世界的に見ても非常に高い水準です。

本記事では、学術的な定義や国際的な統計データをもとに、日本と世界の現状を詳しく解説します。夫婦関係やコミュニケーションの改善を考えるうえで、まずは現実を正しく知ることから始めてみませんか。

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セックスレス夫婦の特徴：科学的エビデンスに基づく包括的分析

日本におけるセックスレスの学術的定義

日本性科学会による公式定義

日本性科学会が策定した「セックスレス」の公式定義は、「特別な事情がないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシュアル・コンタクトが1ヶ月以上ないこと」とされてます1017。この定義は、単純に性交の頻度のみを測定するのではなく、より包括的なアプローチを採用している点で特徴的です10。

具体的には、セクシュアル・コンタクトの範囲に以下が含まれる10：

  • 挿入を伴う性交
  • キスやペッティング
  • ベッドでの裸のスキンシップ
  • その他の性的な身体的接触

定義の厳格性と国際的特徴

この日本の定義は、国際的に見ても最も厳格で包括的な基準の一つです24。期間基準である「1ヶ月以上」は、他国の多くが採用する年間基準と比較して遥かに短く、また対象範囲も性交に限定せず、あらゆる性的接触を含む点で独特です30。

セックスレス夫婦の定義比較表

国・組織定義期間基準対象範囲特徴・備考
日本性科学会特別な事情がないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシュアル・コンタクトが1ヶ月以上ないこと1ヶ月以上性交＋セクシュアル・コンタクト全般最も包括的で厳格な定義。キス、ペッティング、ベッドでの裸のスキンシップも含む
アメリカ（一般的）年間10回以下の性交年間性交のみ中程度の基準。多くの研究で採用
アメリカ（厳格）年間性交なし年間性交のみより厳格な基準。15%の夫婦が該当
ドイツ研究過去3ヶ月間性交なし3ヶ月性交のみ比較的厳格。満足度との関連も調査
韓国研究月1回以下の性交月間性交のみ日本に近い基準だが性交のみ
イギリス研究月1回以下の性交月間性交のみ中程度の基準
オーストラリア研究過去1年間性交なし年間性交のみ比較的寛容な基準

定義の問題点と課題

  1. 期間基準の多様性
    • 1ヶ月基準: 日本性科学会
    • 3ヶ月基準: ドイツ等
    • 年間基準: アメリカ、オーストラリア等
  2. 対象範囲の違い
    • 包括的: 性的接触全般（日本）
    • 限定的: 性交のみ（その他多くの国）
  3. 文化的背景の影響
    • 性に対する社会的態度
    • 夫婦関係への期待
    • 調査への回答傾向
  4. 測定上の課題
    • 自己申告による主観的評価
    • 文化的バイアス
    • 社会的望ましさの影響

世界各国のセックスレス定義比較

主要国の定義体系

国際的な学術研究を分析すると、セックスレスの定義は国や研究機関によって大きく異なることが明らかになりました2316。

アメリカの定義体系では、一般的に「年間10回以下の性交」を基準とする中程度の定義が採用されており、多くの学術研究で使用されています37。より厳格な定義として「年間性交なし」を採用する場合もあり、この基準では約15%の夫婦がセックスレスに該当するようです5。

ドイツの研究では、「過去3ヶ月間性交なし」という比較的厳格な基準を採用しており、関係満足度との関連性も詳細に調査されています14。注目すべきは、ドイツの研究では満足度が高くセックスレスでもある「幸せなセックスレス夫婦」の存在が確認されていますが、その割合はわずか2.3%と極めて稀なようです14。

韓国の研究では、「月1回以下の性交」という日本に近い基準を採用していますが、対象範囲は性交のみに限定されています9。韓国の調査では36.1%の夫婦がセックスレス傾向にあり、日本に次いで高い水準を示しています9。

定義の多様性が生む比較の困難性

これらの定義の多様性は、国際比較において重要な方法論的課題を提起しています3032。期間基準、対象範囲、文化的背景の違いにより、同じ現象を測定していても数値が大きく異なる可能性があります30。

図1：セックスレス夫婦の国際比較（2018-2024年）

図1：セックスレス夫婦の国際比較（2018-2024年）

世界的統計：国際比較データの分析

日本の突出した高水準

2023年の最新データによると、日本のセックスレス夫婦の割合は68.2%に達し、これは調査開始以来の最高水準です2325。この数値は、2020年の51.9%から大幅に増加していて、わずか3年間で16.3ポイントの上昇を示しています1823。2020年にはコロナが流行したこともあり、セックスレス割合が増加した理由の一つかもしれません。

国際的位置づけ

国際比較において、日本のセックスレス率は他国を大きく上回る水準にあります5911。韓国の36.1%、イギリスの約20%、アメリカの15%（年間性交なし基準）と比較すると、日本の68.2%は際立って高いです5923。

世界平均については、定義の多様性により正確な算出は困難ですが、多くの研究では約20%程度とされていて、日本はこの3倍以上の水準にあります1122。

歴史的推移と急激な変化

日本におけるセックスレス率の歴史的推移を分析すると、驚くべき増加トレンドが明らかになりました1721。2003年の31.9%から2023年の68.2%まで、20年間で36.3ポイントという劇的な増加を示しています1721。

図2：日本における夫婦のセックスレス率の経年変化（2003-2023年）

図2：日本における夫婦のセックスレス率の経年変化（2003-2023年）

特に注目すべきは、2016年以降の急激な増加です1721。2016年の47.2%から2020年の51.9%、そして2023年の68.2%と、近年の増加ペースが加速していることが確認できます1721。

性的活動頻度の国際比較

年間性交回数による分析

セックスレスの定義分析と並行して重要なのが、実際の性的活動頻度の国際比較です611。DUREX社の国際調査によると、日本人の年間平均性交回数は48回であり、これは世界平均の103回の半分以下という水準です611。

最も頻度の高いギリシャの164回と比較すると、日本は約3分の1の水準に留まっています11。アジア地域では中国が138回でトップクラスにあることから、地理的要因だけでは説明できない日本特有の現象であることが分かります11。

図3：各国の夫婦の年間平均性交回数比較

図3：各国の夫婦の年間平均性交回数比較

週平均頻度での国際的位置

週平均で見ると、日本は0.9回（週1回未満）であり、世界平均の2.0回を大きく下回っています11。これは、日本の夫婦の多くが月に数回程度の性的接触しかない実態を示しています611。

測定方法論の課題と限界

文化的バイアスの影響

セックスレス統計の国際比較において、文化的バイアスは重要な考慮事項です81220。性に対する社会的態度、夫婦関係への期待、調査への回答傾向は国によって大きく異なり、統計の解釈に影響を与える可能性があります820。

日本では、性的な話題に対する社会的タブーが強く、「めんどくさい」という女性の回答が多いことも文化的背景を反映しているかもしれません2026。一方、欧米では性的満足度や性的健康がより開放的に議論される傾向があるようです15。

自己申告データの信頼性

すべてのセックスレス統計は自己申告に基づいており、社会的望ましさバイアスや記憶の曖昧さが影響する可能性があります230。特に敏感な内容であるため、回答者が実際の状況と異なる回答をする可能性も考慮する必要があります3032。

研究デザインの多様性

縦断的研究、横断的研究、質的研究など、研究デザインの違いも結果に影響を与えます1330。サンプル数、調査対象の年齢層、調査方法（オンライン、面接、郵送等）の違いも統計の信頼性に関わる重要な要因です213。

結論：セックスレスの定義と統計の複雑性

セックスレス夫婦の定義と世界的統計を紐解くことで、日本がいかに特異な状況にあるかが明らかになりました。日本では、厳格かつ包括的な定義のもと、約7割もの夫婦がセックスレスとされており、これは他国と比べても突出した数字です。こうした背景には、文化的価値観や社会的なタブー、夫婦間コミュニケーションの課題など、さまざまな要因が絡み合っています。

しかし、国や調査ごとに定義や測定方法が異なるため、単純な数字の比較だけで本質を判断することはできません。大切なのは、こうしたデータや定義を正しく理解し、自分たち夫婦の関係やライフスタイルを見つめ直すきっかけとすることです。科学的根拠に基づいた情報をもとに、夫婦それぞれが納得できる形のパートナーシップを築くことが、これからの時代に求められています。

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セックスレス夫婦の特徴：科学的エビデンスに基づく包括的分析

参考文献

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